1125 肝臓を蝕むのはお酒だけではない~不思議なおじさんの話~
スーパーへ出かけたら、
近所のセラピストのおじさんと出くわした。
「コロナまた増えてきたね~」
などという他愛もない話をしていると、
急にリコの手のひらに目をやりこう言った。
「リコちゃん、
もっと肝臓を労わってあげなさい。」
と。
ここ最近全然お酒を飲んでなかったリコは
面食らってしまったが、
しばらく考えると、
おじさんの言わんとしていることを理解できた。
◇◇
会社の人たちとの距離が
うまく取れなくなったのはいつからだろう。
特に嫌な人がいたわけでもない。
会社で顔を合わせれば普通に楽しく会話もできる。
けれど…
夏の初め頃からだろうか。
業務が忙しくなり、
ちょっとした出来事に苛立ってしまったり、
怒り心頭に発することが多くなった。
”はらわたがにえくりかえる”
そんな表現がぴったりだ。
リモートワークだから、
怒りの矛先を当事者へぶつけることも、
他の同僚に愚痴を聞いてもらうことも叶わない。
結果、怒りの炎は燃え続ける。
”怒りはお腹にたまる”
とはよく聞く話だ。
◇◇
このおじさんはちょっと不思議な体質で、
相手の体調とシンクロができるそうだ。
何も話していないのに、
今まで散々言い当てられてきたので、
それは本当のことなのだろう。
「肝臓の解毒のパワーを怒りで消費しないこと。
発散してあげないと、
肝臓がどんどん悪くなるよ。」
ここ最近、
後任が決まらないことに苛立っていたリコ。
おじさんのおかげで、
少しクールダウンができたようだ。